はじめに

夜中に突然、発熱や腹痛が起きたとき、「いま薬はどこで買えるのだろう」と不安になった経験はないでしょうか。とくに高齢の親や子どもが体調を崩した場合、夜間に薬を入手できるかどうかは切実な問題です。

結論からいえば、夜間に買える薬は想像以上に限定されています。24時間営業の店舗であっても、登録販売者や薬剤師が不在であれば販売できない医薬品があるためです。

この記事では、夜間に薬がどこまで買えるのかを、コンビニ・ドラッグストア・登録販売者の制度という観点から整理します。

・夜間に購入できる医薬品の範囲
・登録販売者の役割と勤務の現実
・家庭で備えておくべき最低限の薬

これらを順番に解説します。

夜間に薬はどこまで買えるのか【結論】

まず全体像を整理すると、夜間に薬を購入できる場所は「コンビニ」「24時間営業のドラッグストア」「夜間救急対応の医療機関」の3つに大別されます。ただし、いずれも無条件で医薬品が買えるわけではありません。

  • コンビニは一部店舗で第2類・第3類医薬品を扱う場合がありますが、登録販売者が勤務している時間帯に限られます。
  • 24時間営業のドラッグストアであっても、深夜は医薬品売場を閉鎖しているケースが少なくありません。

つまり「店が開いている=薬が買える」ではないという点が、夜間医薬品の現実です。

医薬品は3種類ある【第1類〜第3類】

市販薬はリスクの程度によって第1類・第2類・第3類に分類されています。夜間購入の可否は、この分類と販売資格者の有無に大きく左右されます。

  • 第1類医薬品は副作用リスクが比較的高く、薬剤師による対面販売が必要です。そのため、深夜帯に薬剤師が不在であれば購入できません。
  • 第2類医薬品と第3類医薬品は登録販売者でも販売可能ですが、これも有資格者が店内に常駐していることが前提です。深夜は資格者が退勤している店舗も多く、実際には購入できない時間帯が存在します。

分類と販売資格者の関係を、表で整理すると次のとおりです。

区分 主な例 販売できる資格者 夜間購入の難易度
第1類 ガスター10・ロキソニンSなど 薬剤師のみ 非常に難しい
第2類 風邪薬・鎮痛剤など 薬剤師・登録販売者 条件付き
第3類 ビタミン剤・整腸薬など 薬剤師・登録販売者 条件付き

第1類医薬品は、たとえ24時間営業の店舗であっても薬剤師が不在であれば購入できません。ここが夜間購入の大きな壁になります。

なお、誤解されやすいのが第3類医薬品です。リスクが比較的低い分類ではありますが、登録販売者または薬剤師の管理下で販売する必要があります。したがって、深夜帯に有資格者が不在の場合は、第2類だけでなく第3類も購入できません。この点が「24時間営業でも薬が買えない」理由のひとつです。

コンビニで買える薬の現実

近年、一部のコンビニでは医薬品を取り扱う店舗が増えました。しかし、すべての店舗が対象ではなく、登録販売者がいる時間帯のみ販売可能という条件があります。

実際に置かれている薬も、解熱鎮痛剤や湿布、整腸薬など比較的リスクの低い第2類・第3類医薬品が中心です。品目数はドラッグストアと比べるとかなり限定的です。

なお、大手コンビニ各社でも医薬品取扱い店舗は存在しますが、販売時間や登録販売者の在籍状況は店舗タイプや立地によって異なります。

また、深夜帯は登録販売者が不在となり、医薬品コーナーが閉鎖されるケースもあります。そのため、夜中に駆け込んでも購入できない可能性があることを理解しておく必要があります。

24時間ドラッグストアの落とし穴

「24時間営業」と表示されているドラッグストアでも、医薬品販売時間は別に設定されていることがあります。深夜帯はレジのみ営業し、医薬品売場を施錠する店舗も存在します。

これは医薬品販売に有資格者の常駐が義務づけられているためであり、店舗側の都合ではなく制度上の制約です。

したがって、夜間に薬を購入する際は、事前に「医薬品販売時間」を確認することが現実的な対策となります。

登録販売者とは何者か【制度の現実】

登録販売者は都道府県が認定する資格で、第2類・第3類医薬品を販売できます。ただし国家資格である薬剤師とは異なり、取り扱える医薬品の範囲に制限があります。

医薬品販売には有資格者の常駐が求められますが、深夜帯にまで常駐させることは人件費の面から難しいのが実情です。そのため、夜間は登録販売者が不在となる時間帯が生まれます。

この制度的背景が、「夜間に薬が買えない」という状況を生み出しているのです。

夜間購入の可否を整理【比較表】

夜間に薬が買えるかどうかは、店舗の種類と有資格者の在籍状況によって決まります。まずは全体像を簡潔に整理します。

場所 夜間に購入できる可能性 条件
コンビニ 登録販売者が勤務している時間帯のみ
24時間ドラッグストア 医薬品販売時間内かつ有資格者在籍時
調剤薬局 × 原則として夜間販売不可

この表からわかるように、「24時間営業」という表示だけでは医薬品が買える保証にはなりません。重要なのは“有資格者がその時間帯にいるかどうか”です。

夜間に買えない薬の代表例

夜間に購入が難しい薬としては、第1類医薬品の多くが挙げられます。例えば一部の強い胃薬などは薬剤師が不在であれば販売できません。

また、第2類医薬品であっても登録販売者がいなければ購入できません。抗アレルギー薬や一部の総合感冒薬なども時間帯によっては入手困難となります。

症状が重い場合や判断に迷う場合は、夜間救急相談(#7119など)を利用することも選択肢になります。

高齢者・子どもの場合どうする?

高齢者は持病や併用薬があることが多く、自己判断での購入には注意が必要です。夜間に症状が出た場合は、無理に市販薬で対応せず、医療相談窓口を活用するほうが安全な場合もあります。

子どもの発熱も同様で、体重や年齢に応じた用量管理が必要です。夜間に慌てて薬を探すよりも、日頃から家庭に適切な解熱鎮痛剤を備えておくことが現実的な対策といえます。

夜間に備えておくべき最低限の薬

夜間にすぐ買えない可能性があることを前提に、家庭で最低限の常備薬を準備しておくことが重要です。

具体的には、解熱鎮痛剤、整腸薬、胃薬、絆創膏や消毒液などが基本になります。使用期限を定期的に確認し、切らさないよう管理することが安心につながります。

コンビニは生活インフラとして心強い存在ですが、医療面では限界があります。その現実を理解したうえで、事前の備えを整えることが最も確実な対策です。

よくある質問(Q&A)

Q. 24時間営業の店舗なら、夜中でも必ず薬は買えますか?
A. いいえ。医薬品販売には登録販売者や薬剤師の在籍が必要です。深夜帯は不在となる店舗も多く、購入できない時間があります。

Q. 登録販売者がいないとどうなりますか?
A. 第2類・第3類医薬品であっても販売できません。医薬品売場を閉鎖している店舗もあります。

Q. コンビニの薬はドラッグストアと同じですか?
A. いいえ。取り扱い品目は限られており、主にリスクの低い医薬品が中心です。品数はドラッグストアより少ないのが一般的です。

Q. 夜間に備えておくべき対策は何ですか?
A. 解熱鎮痛剤や整腸薬など最低限の常備薬を家庭で準備しておくことが現実的です。あわせて、#7119などの医療相談窓口を把握しておくと安心です。

まとめ

夜間に薬を購入できる範囲は、制度上の制約により限定されています。24時間営業の店舗であっても、登録販売者や薬剤師が不在であれば販売できない医薬品があります。

コンビニは補助的な役割としては有効ですが、万能ではありません。家庭での備えと、医療相談窓口の活用を組み合わせることが現実的な対策です。

夜間の不安を減らすためにも、買える範囲と買えない範囲を正しく理解しておくことが大切です。