はじめに

親の介護は、ある日突然始まることが多く、「これからどれくらいお金がかかるのだろう」と不安になる方は少なくありません。
インターネットで調べると「介護で給付金がもらえる」「支援制度がある」という情報を目にしますが、実際には内容が分かりにくく、誤解されている点も多いのが現実です。

結論から言うと、介護にはさまざまなお金の支援制度がありますが、誰でも一律にもらえる給付金は存在しません。
制度の多くは「サービス利用の自己負担を抑える仕組み」や「あとからお金が戻る仕組み」です。

この記事では、親の介護で使える主な支援制度を整理しながら、特に誤解されやすいポイントをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 親の介護で使える代表的なお金の支援制度の全体像
  • 「給付金がもらえる」と誤解されやすいポイント
  • 家計の不安を減らすために最初にやるべきこと

親の介護で使える主な「お金の支援制度」一覧

お金の支援制度 比較表(全体像)

制度名 お金の出方 主な対象 注意点・誤解されやすい点
介護保険サービス 現物給付(サービス利用) 要介護・要支援認定者 現金は支給されない。自己負担は1〜3割
高額介護サービス費 払い戻し 介護サービス利用者 原則申請が必要。月ごとに上限あり
高額医療・介護合算療養費 払い戻し 医療費と介護費の両方がある世帯 年単位での申請。知られていない制度
医療費控除・障害者控除 税金が戻る・減る 介護費用を負担した家族 確定申告が必要。給付金ではない
介護休業給付金 現金給付 雇用保険加入者 取得条件が細かい。誰でも対象ではない

まず知っておきたいのは、介護に関する公的支援の中心は介護保険制度だという点です。ここを理解しておくと、その後の制度が整理しやすくなります。

介護保険サービス(現物給付が基本)

介護保険は「現金が支給される制度」ではありません。
要介護認定を受けることで、訪問介護やデイサービス、福祉用具レンタルなどの介護サービスを原則1〜3割の自己負担で利用できる仕組みです。

家計の負担を直接減らしてくれる点では大きな支援ですが、「お金が振り込まれる」と誤解されやすい制度でもあります。

高額介護サービス費制度

介護サービスの自己負担が高くなった場合、月ごとに自己負担の上限が設けられている制度です。
上限額は所得区分によって異なり、一定額を超えた分は後から払い戻されます。

この制度を使うことで、介護費用が家計を大きく圧迫するのを防ぐことができますが、自動で戻るわけではなく申請が必要な点には注意が必要です。

高額医療・高額介護合算療養費制度

医療費と介護費の両方を支払っている世帯では、1年間の自己負担額を合算し、基準額を超えた分が払い戻される制度があります。

入院と在宅介護が重なるケースなどでは、家計負担を大きく下げられる可能性がありますが、制度自体を知られていないことが多いのが実情です。


現金給付・お金が戻る可能性がある制度

「介護でお金がもらえる」と言われる背景には、次のような制度が関係しています。

障害者控除・医療費控除(確定申告)

親が要介護状態の場合、条件を満たせば障害者控除の対象になることがあります。
また、介護にかかった医療費や一部の介護費用は医療費控除として確定申告することで、所得税や住民税が軽減されます。

これは給付金ではありませんが、「税金が戻る」「翌年の税負担が軽くなる」という意味では、実質的なお金の支援と言えます。

介護休業給付金(働いている家族向け)

会社員など雇用保険に加入している人が、親の介護のために介護休業を取得した場合、介護休業給付金が支給される制度があります。

ただし、誰でももらえるわけではなく、

  • 雇用保険の加入条件
  • 休業の取り方

など、細かい要件があります。
「親の介護=給付金が出る」と単純に考えると、ここで誤解が生じやすくなります。


よくある誤解①「介護には給付金がもらえる」

介護について調べていると、「給付金」という言葉が一人歩きしている印象があります。

実際には、介護に関する一律の現金給付制度はありません。
支援の中心は、

  • 介護サービスの自己負担軽減
  • 高額になった分の払い戻し
  • 税制上の優遇
    といった形です。

この点を理解していないと、「思っていたほどお金がもらえない」と感じてしまい、不安が大きくなってしまいます。


よくある誤解②「申請しなくても自動で受け取れる」

介護の支援制度で特に注意したいのが、申請主義です。

高額介護サービス費や合算療養費、税制優遇などは、原則として自分で申請しなければ受け取れません。
「知らなかった」「教えてもらえなかった」という理由で、使える制度を逃してしまうケースも少なくありません。


家計を守るために最初にやるべきこと

お金の不安を減らすために、最初にやっておきたいことは次の3つです。

  • できるだけ早く要介護認定を受ける
  • 地域包括支援センターに相談する
  • 給付金だけでなく、サービスの使い方を理解する

特に地域包括支援センターは、制度の窓口として無料で相談できます。早めに相談することで、結果的に家計の負担を抑えやすくなります。


よくある質問(Q&A)

Q1. 親の介護で、国や自治体から現金の給付金はもらえますか?

A.
原則として、介護に関して誰でも一律にもらえる現金の給付金はありません。
介護保険制度はサービス利用を支える仕組みが中心で、支援の多くは「自己負担の軽減」や「あとから払い戻される制度」「税制優遇」という形です。

Q2. 介護費用が高額になった場合、必ずお金は戻ってきますか?

A.
高額介護サービス費などの制度はありますが、自動的にお金が戻るわけではありません
多くの場合は申請が必要で、申請しないまま期限を過ぎると受け取れなくなることもあります。

Q3. 親の介護費用を子どもが支払った場合、支援の対象になりますか?

A.
条件を満たせば、医療費控除や障害者控除の対象になる可能性があります。
ただし、すべての介護費用が対象になるわけではないため、領収書を保管したうえで確認することが大切です。


まとめ

  • 親の介護には複数のお金の支援制度があるが、万能な給付金は存在しない
  • 支援の多くは「負担軽減」や「払い戻し」「税制優遇」という形
  • 誤解されやすい点を理解することで、無駄な不安を減らせる

介護は長期戦になることも多いため、制度を正しく知り、使える支援を重ねていくことが大切です。